ストレスと病気

ストレスと病気

ストレスと病気

普段の生活で、私たちは何気なく「ストレスで胃が痛くなった」「ストレスで眠れなくなった」「ストレスで下痢になった」と口にします。

しかし、ストレスとは一体何なのか、どうしてストレスが体調不良の原因になるのか、正確に説明できる人はほとんどいないことでしょう。

そこで、「ストレスと病気の相関関係」について、しっかり学ぶことにします。

ストレスとは?

「ストレス」と一口に言っても、その性質から4種類のストレスに分かれます。

1.物理的ストレス(寒冷、騒音、放射線)

2.化学的ストレス(酸素、薬物等)

3.生物的ストレス(炎症、感染)

4.心理的ストレス(怒り、不安)

上記4種類のストレスの内、私たちが日常的に口にする言葉は4.「心理的ストレス」です。

心理的ストレスを感じる状況

心理的ストレスは、主に対人関係の場面や、その人にとって「重要な局面」に遭遇したときに感じます。

たとえば、

・苦手な上司からガミガミ叱られたとき

・苦手な義実家との付き合いをしなければいけないとき

・第一志望の大学の受験前夜

・会社にとって社運を賭けるような大事なプロジェクトを任されたとき

・転勤で、全くの見知らぬ土地に赴任することになったとき

当然ですが、日常生活のルーティンにおいては特段の心理的ストレスを感じることはありません。

私たちが普段「ストレスを感じる」と口にするのは、上記のように「苦手な人・もの」に対処しなければいけないときです。

気心の知れた友人、親しみを感じる上司や義実家との付き合いでストレスを感じることはないでしょう。

また、自分の能力に自信がある人なら、「社運を賭けたプロジェクト」の責任者に自分が抜擢されたら、むしろウキウキしてしまうかもしれません。

フロンティア・スピリットに溢れた人なら、「どんな新しい友達ができるかな?」と、環境の変化にワクワクすることでしょう。

このように、「心理的ストレス」を感じるか否かは、その人の資質にかかっています。

ストレスに弱い人とは、上記のように「苦手意識が強い人」と言えるでしょう。

では、「苦手意識が強い」とは、どのように形成されるのでしょうか?

苦手意識が形成される理由

苦手意識は、主に

1.ただの思い込み

2.自信の無さ

3.過去のトラウマによる影響

4.自分の価値観を否定される怖れ

の4つによって形成されます。

1.ただの思い込み

「食わず嫌い」という言葉があるように、ものごとを先入観で見てしまうことがあります。

やってみたら、意外にカンタンだったとか、意外に面白くてハマってしまった、ということはよくあります。

ヨガブームになって久しいですが、私はヨガにはあまり興味がありませんでした。

そのため、ヨガに熱中している人を見ると「ふ~ん・・・」と、冷めた目で見ていました。

多分、頭の中で「ヨガにハマる人」=「スピリチュアル好きな面倒くさい人」という思い込みがあり、「苦手意識」があったように思います。

しかしある時「食わず嫌いはいけない」と思い、ヨガ教室に数回通ってみました。

通った結果、ヨガは「ストレッチ」のようなものだと理解しました。

ヨガは、日常生活ではあり得ないようなアクロバティックなポーズを取ります。

ポーズに意識を集中している間は、無心になれます。

その結果、「ヨガをやるとリラックスできる」効果があるんだな、と自分なりに理解しました。

この時は自分でも納得してヨガ教室に通ったので、心理的ストレスは感じませんでした。

しかし、苦手意識を持ったまま、友人からムリにヨガ教室に連行されたら、おそらく私のストレスは非常に強いものだったに違いありません。

このように、ただの思い込みや食わず嫌いによる「苦手意識」なら、機会があれば解消することもあります。

2.自信の無さ

自分に自信が無いと、「ルーティン」以外のものに拒否反応を示します。

新しい物事にチャレンジして、失敗することを何よりも怖れています。

その失敗によって、さらに自己評価が落ちてしまうことを無意識のうちに怖れているのです。

こういう人が「見知らぬ土地への赴任」を命じられたら、ストレスのあまり辞職してしまうかもしれません。

自分に自信がある人は、新しい物事にチャレンジすることになっても「なんとかなるだろう」と、楽観視できます。

たとえ失敗しても、元々自分を肯定しているので、自己評価が低くなることを心配していないのです。

そのため、あまり心理的ストレスを感じるようなこともありません。

3.過去のトラウマによる影響

苦手意識を持つようになった原因に、「過去のトラウマによる影響」があります。

私は、子どもの頃に海で溺れかけた経験があります。

しこたま海水を飲んでしまい、ワンワン大泣きしたことを覚えています。

その経験から、「泳ぐことは怖い」と思うようになりました。

そのため、学校の水泳の授業は苦痛でしかありませんでした。

その頃は、「トラウマ」の実態がなんなのか全く分かっておらず、なぜ水泳の授業に苦手意識を持っていたのか、さっぱり理解できませんでした。

おかげで、今でも私はカナヅチです(笑)。

幸いなことに、大人になった今では海やプールに行く機会は無くなりました。

健康のために、スイミングがいいというのは頭では分かっています。

しかし、積極的にスイミングスクールに通おうとは思いません。

海辺や遊び用のプールで水遊びする程度ならともかく、スイミングスクールに通わされることになったら、強い心理的ストレスを感じることになるだろうと思います。

また、「『過去に、あなたに危害を加えた人』を連想させる人」に対しても苦手意識を持つこともあります。

たとえば、学校の先生が怒鳴り散らしてエバるタイプだったら、その先生に似た人、その先生を連想させる人に対しても苦手意識を持つことがあります。

理性では別人だと分かっているのですが、脳に刻み込まれた記憶が、別人だと認識することができないのです。

4.自分の価値観を否定される怖れ

私は、クラシックギターと声楽を習っていた間の発表会では、ひどいあがり症に悩まされていました。

あがり症になる人は、「真面目・几帳面・優等生・完璧主義」タイプが多いと言います。

なぜかというと、「真面目でいれば、他人が私を評価してくれるだろう」という思い込みがあるからです。

そのため、自分の価値観である「真面目・几帳面・優等生・完璧主義」を否定するような人に対しては、強い苦手意識を持っていました。

すなわち、「不真面目・いい加減・劣等生・お金や時間にルーズな、だらしが無い人」です。

世の中は、人の数だけその人なりの価値観があることは分かっています。

しかし、「不真面目・いい加減・劣等生・お金や時間にルーズな、だらしが無い人」を目にすると、何だか自分の価値観を否定されるような気がしてきます。

そのため、そういう人に会わなければいけないことを考えると、何だか胸がモヤモヤしたり、落ち着かなくなってソワソワしたり、あるいはイライラしたりします。

付き合いが自分の意志で絶てる場合はともかく、会社の同僚でイヤでも毎日顔を合わせなければいけない場合は、相当の心理的ストレスを感じます。

ストレスが身体に与える影響

上記のような「苦手意識を持つようになった」人やものに対して何らかの対処をしなければいけなくなったり、回避することが不可能だったりする場合、私たちは「強い心理的ストレス」を感じることになります。

この心理的ストレスが身体にどのような影響を及ぼして病気になるのかを見ていきましょう。

1.大脳新皮質がストレスをキャッチする

すべてのストレッサー(ストレス)は、まず大脳新皮質でキャッチされます。そこから、刺激の種類に応じた、神経伝達物質が分泌されます。

それらを受けとった視床下部からはCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されます。


その後、内分泌が活動するルートと、自律神経が活動するルートの2つの経路に分かれます。

内分泌ルート

まずCRHに促され、視床下部の下にある脳下垂体という部分からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)と、脳の神経細胞間の情報伝達を担う神経伝達物質の1つ、β-エンドルフィンが分泌されます。

ACTHは、腎臓のすぐ上にある副腎の副腎皮質という部分を刺激して、コルチゾールというホルモンの分泌を促進します。

自律神経ルート

一方、視床下部からのCRHに促され自律神経が活動した場合は、交感神経からノルアドレナリンが分泌されます。

その刺激を受け副腎髄質からは、アドレナリン・ノルアドレナリンが分泌されます。

「ストレスについて」日本成人病予防協会

長期的かつ慢性的に心理的ストレスに晒されることの影響

上記のような「苦手意識を感じる人やもの」に対処しなければいけないとき、または回避不能なとき、私たちは心理的ストレスを感じます。

プライベートな付き合いで苦手意識を感じる相手なら、付き合いを絶てば済むことです。

しかし、義実家とか、ママ友の付き合いとかで、避けたくても避けられない場合があります。

また、苦手な上司や苦手な同僚、苦手な仕事内容である場合も、そうそう転職を繰り返す訳にはいきません。

顔を合わせば口汚く罵りあいを続ける最悪な夫婦関係も、子供のことや経済的な理由もあって、簡単に離婚はできないでしょう。

このような場合、私たちは長期的かつ慢性的心理的ストレスに晒されることがあります。

長期的かつ慢性的に心理的ストレスに晒されるとどうなるかというと、ストレスホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールの絶え間ない分泌に晒され続けるということです。

アドレナリンには、交感神経を優位にする働きがあります。

交感神経が優位になると、自律神経のバランスが乱れて自律神経失調症になります。

また、コルチゾールには、免疫力を低下させ、血糖値を上げる働きがあります。

免疫力が低下すると風邪を引きやすくなったり、ガンを発症しやすくなったりします。

血糖値が上昇すると、糖尿病になる恐れがあります。

コルチゾールの上昇は脳の海馬を委縮させ、アルツハイマー型認知症の原因になります。

ストレスに弱くなる脳神経学的原因

前述のように、「ストレスに弱い性格」として、人や物ごとに対する強い苦手意識を挙げました。

もう一つ、脳神経学的原因が挙げられます。

ヒトを対象とした研究により、ストレスに対する脆弱性は遺伝的背景や過去のストレス経験などが原因であることが分かっています

小児期に虐待を受けた人は、ストレスに対する脆弱性があるということです。

慢性的なストレスにさらされると、扁桃体の樹状突起(神経細胞から枝状に伸びて信号を受け取っている突起)が拡大する一方、前頭前野の樹状突起は萎縮します。

ストレスがなくなれば、前頭前野の樹状突起は再生しますが、ストレスが非常に強い場合には回復能力が失われます。

前頭前野の萎縮は、過去のストレス体験と関連していることも分かってきました。

ストレスによる脳内変化が生じると、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、うつ病や依存症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの不安障害につながると考えられています。

「ストレスと脳」東邦大学

「慢性的なストレス」とは、小児期に虐待を受けた人にとっては「フラッシュバック」のことです。

扁桃体の樹状突起が拡大すると、ストレスに対して過剰反応しやすくなります。

前述の「苦手意識を形成する原因」に3「トラウマ」があります。

苦手な人を前にすると、過去にその人から辛い目に遭わされた出来事を脳が思い出します。

思い出す度に、あなたの脳は「フラッシュバック」を起こします。

その度に、ストレスホルモンが分泌されます。

脳は過去の出来事と、フラッシュバックを起こさせている現在の出来事との区別がつきません。

また、4「自分の価値観を否定される恐れ」の「価値観」が、子供の頃に親との関係において身に着けた「生きるための知恵」の場合があります。

その価値観を否定される恐れは、一人では生きていけない子供にとって「死」を意味します。

人にとって最大の恐怖は、「死」への恐怖です。

「自分の価値観を否定される恐れ」に直面する度にストレスホルモンが分泌されます。

他の人にとっては「たかがギターの発表会」であっても、私にとっては「命」がかかっていたのです。

その恐怖を脳が感じ取り、扁桃体を刺激して交感神経が優位になり、あがり症の諸症状を発症させていました。

小児期に虐待を受けた人は、扁桃体の樹状突起が拡大し、ストレスに対して過剰反応するようになります。

絶え間ないフラッシュバックにより、小児期に虐待を受けた人は慢性的なストレスに晒されることになります。

慢性的なストレスは、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールの慢性的な分泌を促します。

そして、自律神経失調症、ガン、糖尿病、アルツハイマー型認知症を発症しやすくなるのです。

小児期に受けた虐待によるトラウマを癒すことで、「フラッシュバック」がなくなります。

また、「生きのこるための知恵」である、偏った価値観も心理療法で修正することができます。

フラッシュバックが無くなれば、扁桃体を刺激することもなくなります。

偏った価値観を修正することで、ストレスを感じなくなります。

扁桃体が刺激されなくなれば、ストレスホルモンが分泌されなくなります。

自律神経も安定し、コルチゾールも過剰分泌されなくなります。

その結果、ガンや糖尿病、アルツハイマー型認知症を発症する確率が下がります。

生きている以上、ストレスから完全に逃れることは難しいかもしれません。

しかし、小児期に受けた虐待のトラウマを心理療法で癒すことで、病気の発症率を下げる可能性があるのです。

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Posted by ritsuko-ace