小児期逆境経験(Adverse Childhood Experiences)

2020年9月22日

ACE研究は、一人の医師であり研究者であるヴィンセント・J・フェリッティの発見からスタートしました。

1985年、アメリカ、サンディエゴのカイザー・パーマネンテ医療プログラムにおいて、医師で研究者のヴィンセント・J・フェリッティは成人の肥満の患者は子どもの頃にトラウマとなる出来事を経験していたことを発見しました。

カイザー・パーマネンテの肥満解消プログラムに参加した患者の多くが、1年間で減量手術を行わずに大幅な減量を遂げたものの、ほどなく脱落者が相次ぐようになりました。

納得がいかないフェリッティ医師は、286名の患者と面談を行いました。

その結果、驚くほどの多くの数の患者が子どもの頃に虐待ー多くは性的虐待を受けていたことを告白したのです。

小児期トラウマがもたらす病 著者ドナ・ジャクソン・ナカザワ パンローリング株式会社 

私は2019年にこの本を読み、衝撃を受けました。

ガンを初め、糖尿病、白血病、腎臓病、心臓病など、この世にはありとあらゆる病気があふれかえっています。

病気になったら、病院へ行って医師に診察してもらい、薬を処方されるか手術を受けるかしか、私たち一般の人間には対応策がありません。

私たちができる病気への対抗策として、健康的な食事、定期的な運動、ストレスを溜めない等の方法があります。

しかし、どんなに気を付けても病気になるときは病気になります。

「人は、どうして病気になるんだろう?」「そして、どうしたら病気から逃れることができるんだろう?」

そう疑問に思うのは、私だけではないはずです。

しかし、この本との出会いが、病気に対する私の概念を全て変えました。

小児期のトラウマがストレスホルモンの分泌を促し、それが病気を生み出している・・・

この事実を知ったとき、私は心底驚きました。

小児期のトラウマが関係している病気は肥満だけではなく、ガン、肝炎、虚血性心疾患、自己免疫疾患、心臓病、糖尿病、炎症性腸疾患、肺気腫、脳卒中・・・と、あらゆる範囲に亘っていました。

小児期のトラウマが病気の原因なら、いくら健康的な生活を心掛けていても、意味が無いではありませんか?

しかし、裏を返せば、「小児期のトラウマを癒せば、病気から逃れることができる」のです。

今日、アメリカやヨーロッパでは盛んにACE研究が行われています。

・アメリカでは、1500以上の研究でACE調査が引用されています。

・WHO(世界保健機構)では、14ヶ国で健康悪化に繋がる可能性がある精神的苦痛や心的外傷の検査にACEアンケートを採用しています。

・アメリカでは、29の州とワシントンDCにおいて、公衆衛生の改善にACEアンケートを利用しています。

しかし、我が国日本では・・・

ネットで検索した限りでは、ACEアンケートどころか、誰も病気におけるACE研究を行っていないようなのです。

私は、この事実にも驚きました。

なぜ、我が国日本では「心と身体の繋がり」を無視しているのでしょうか?

2019年度の日本の医療費は、なんと43兆6000億円です。

この医療費のうち、「小児期トラウマが関係している病気」に掛かった医療費は、いくらなのでしょうか?

私たちは、もっとACE研究に興味を持たなければいけません。

あなたや、あなたの大切な家族や友人が、明日「小児期のトラウマが関係している病気」を発症する可能性はゼロではありません。

私たちは、病気になってから生活を改めるのではなく、病気を未然に防ぐために「心の在り方」を改める必要があります。

病気になりやすい「心の在り方」を変えることで、「人生100年時代」だって夢ではありません。

あなたがこのサイトで「心と病気」について理解を深め、健康で幸福な生活を送ってくださることを願っています。

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Posted by ritsuko-ace